前回の記事で、デッドリフト中の仙骨まわりの違和感が軽減したことを受け、今回はフォームの徹底的な見直しに取り組みました。ただ「痛みが出ない」だけでなく、**「より効率よく、安全に、強く引く」ことを目指し、Mark Rippetoe氏の著書『Starting Strength』**から得た知見をもとにフォームを再構築しました。
従来のフォームとその限界
これまでは「背中をまっすぐに保つこと」と「腹圧をガチガチにかけること」を最優先にしていました。
しかし、このやり方では動作そのものが硬くなり、特に高重量を扱うとバーの軌道が不安定になりがちでした。
- 腹圧は「お腹を固める」イメージで入れていた
- 背中は意識できていたが、バーが前に流れることがあった
- 結果的に腰や背中に余計な負担がかかりやすかった
こうした問題を解消するため、『Starting Strength』の5ステップセットアップをベースにフォーム改善を試みました。
【実践】デッドリフトフォーム改善のための5つのチェックポイント
『Starting Strength』で推奨されているセットアップの流れをベースに、私自身の課題に合わせて調整した5つのチェックポイントをご紹介します。
1. バーの位置を足の真ん中に置く
まず、バーが足の甲の真ん中(アーチのあたり)に来るように立ちます。そして、バーと脛の間を約2.5cmに保ちます。このバーの位置がずれると、バーが前に流れやすくなり、腰や背中に無駄な負担がかかるため、最も基本的ながら重要なポイントです。
2. 腰を高くしたままバーを握る
しゃがみ込まずに、股関節から前傾してバーを握ります。この時、膝を前に出しすぎないように注意することが大切です。膝が前に出ると、バーと脚が干渉してスムーズな動作を妨げてしまいます。
3. 脛をバーに寄せつつ、膝を外へ開く
バーを握ったら脛をバーに寄せ、同時に膝を外へ開きます。このとき膝は腕(バー)より前に出ないように意識。これで体とバーの距離が縮まり、軌道が安定します。
4. 胸を上げて背中のテンションを作る
腰を反るのではなく、胸を斜め前に突き出す感覚で胸を張ります。この動作によって、自然と背中のテンションが入り、腹圧も適切に入ります。これまでの「腹圧をガチガチに固める」という意識よりもスムーズなセットアップが可能になりました。
5. 「足で床を押す」感覚で立ち上がる
リフトを開始する際は、「腰で引く」意識ではなく、**「足で床を押す」**感覚を優先します。これにより、今まで感じていた腰への過剰な負担や、バーが前に流れてしまう動きが劇的に改善されました。バーは脛に沿ってまっすぐ上昇し、腰への負担が大幅に軽減。体全体でバーベルを持ち上げる感覚を掴むことができました。
参考にした『Starting Strength』は、筋トレの基本を学ぶ上で非常に優れた教科書です。amazonの購入ページは以下からご覧いただけます。

まとめ:意識の変化がもたらした大きな効果
今回のフォーム改善は、単に「意識を変えた」だけでなく、**『Starting Strength』**の理論をベースに段階的にフォームを組み立てたことが大きな成果につながりました。
従来の意識 | 新しい意識 |
---|---|
背中と腹圧をガチガチに固める | 胸を上げて自然にテンションと腹圧を作る |
腰で引く感覚が強い | 足で床を押す感覚を優先する |
バーが前に流れることがあった | バーを脛に沿わせてまっすぐ引き上げる |
よくある質問(Q&A)
Q1. デッドリフトで腰が痛くなるのはなぜですか?
A. 多くの場合、バーが前に流れて背中や腰に余計な負担がかかっていることが原因です。フォームのセットアップで「バーを足の真ん中に置く」「脛に沿わせて引く」ことを徹底すると、腰への負担を大幅に減らせます。
Q2. デッドリフトの時、腹圧はどのようにかければいいですか?
A. お腹全体をガチガチに固めるのではなく、「胸を上げる」動作を意識すると自然に腹圧が入ります。お腹の前後左右に均等に圧を広げるイメージで呼吸をすると安定感が増します。
Q3. バーが前に流れてしまうのを防ぐにはどうすればいいですか?
A. セットアップの時点で「バーと脛の距離を約2.5cmに保つ」ことが大切です。また、立ち上がるときに「腰で引く」のではなく「足で床を押す」意識を持つことで、バーの軌道が安定します。
Q4. 『Starting Strength』のフォームは初心者にも有効ですか?
A. はい、有効です。むしろ初心者こそ、シンプルで再現性の高いこの5ステップを守ることで、安全に正しいフォームを習得できます。特に「バーの位置」「脛に沿わせる」という基本は、すべてのレベルのトレーニーに有効です。
Q5. 補助種目は必要ですか?
A. フォームの改善が最優先ですが、片手のダンベルデッドリフト(スーツケースデッドリフト)や軽い重量でのハイレップトレーニングを取り入れると、中殿筋や股関節周りがほぐれ、より安定したフォームにつながります。
👉 フォーム改善は一度で完成するものではなく、日々の練習と小さな気づきの積み重ねで磨かれていきます。今回ご紹介したチェックポイントとQ&Aが、あなたのデッドリフト改善のヒントになれば嬉しいです。
次回は、この新しいフォームを補助するために取り入れた**「補助種目(スーツケースデッドリフトなど)」**について詳しくご紹介します。



コメント