デッドリフトやスクワットで扱う重量が上がるにつれて、フォームの乱れや**「左右差」の存在に気づくことがあります。私自身も例外ではなく、左側の弱さが原因でフォームが崩れていることを突き止めました。今回は、その具体的な自己診断と補強の実体験**、そして**Dr. Aaron Horschig 氏(Squat University)**の考え方を交え、左右差を改善し、フォームを安定させるアプローチをご紹介します。
診断①:スーツケースデッドリフトで見えた左右の差
片手に重りを持って行う「スーツケースデッドリフト」を取り入れたところ、驚いたのは左手で持つ方が弱いという事実でした。これは、左右の体の使い方や筋力に偏りがあることを示しています。
この不安定性は、以下のメインリフトの課題と連鎖していました。
- デッドリフト: バーがわずかに横に流れる原因。
- スクワット: 重い重量になると、体がねじれる感覚の原因。
この発見により、フォーム崩れの原因が**技術ではなく、「体の左右の筋力バランスの偏り」**にあると確信しました。
診断②:スクワット、姿勢、そして体幹のチェック
問題の根本を探るため、リフト動作以外でも左右差をチェックしました。
スクワットでの課題:左膝の「ニーイン」
限界が近づいたスクワットでは、左膝が内側に入りやすい(ニーイン)傾向がありました。これは、主にお尻の外側の筋肉(中殿筋など)や、股関節周りの安定させる筋肉が弱いことが原因で起こりやすい現象です。
自然な姿勢での違和感:右足つま先の開き
立位で自然に足を揃えると、右足のつま先がやや外に開くことに気づきました。この右側の股関節の使い方のクセが、左側の弱さと合わさり、全体のバランスを崩している可能性があります。
90/90での柔軟チェック
また、**毎日の柔軟性チェックとして取り入れている「90/90ヒップスイッチ」**でも、左右の倒しやすさに明確な差がありました。これは股関節の可動域と安定性に偏りがあることを示しており、左右差を裏付ける結果となりました。
サイドプランクでの決定的な弱さ
サイドプランクでは、左を下にしたとき(左腕で体を支えるとき)が苦手だと分かりました。
これは、**体幹の側面を支える筋肉(腹斜筋やお尻の横の筋肉)**が弱く、体が横に傾くのを我慢する力が不足していることの明確な表れです。
この一連の診断により、**問題の根幹が「左側の安定性と機能の弱さ」**にあることが裏付けられました。
左側の弱さを克服するための補強戦略
Dr. Aaron Horschig 氏の考えに基づき、**「左側の安定性強化」**に特化した種目を取り入れています。
補強の目的 | 具体的な補助種目 | 期待される効果 |
体の横への傾き防止 | スーツケースデッドリフト(左手重点)、 サイドプランク(左肘重点) | 体が横に倒れたり、バーが左右に流れたりするのを我慢する力(アンチ・ラテラルフレクション)を強化。 |
股関節の安定性強化 | クラムシェル、 バンドウォーク、 シングルレッグデッドリフト | スクワット時のニーインを防ぎ、お尻の外側の筋肉を強化して股関節を安定させる。 |
正しい動作の再学習 | 軽めのハイレップ スクワット/デッドリフト(10回以上) | 高重量では意識しづらい正しいフォームの感覚を取り戻し、強化した筋肉を使うパターンを体に覚え込ませる。 |
参考にしている考え方:Dr. Aaron Horschig(Squat University)
これらの改善プロセスは、**「痛みの原因を可動域(モビリティ)と安定性(スタビリティ)のどちらかから探す」**というDr. Aaron Horschig 氏の考え方に大きく影響を受けています。
私は英語が読めないため書籍を直接読むことはできませんが、YouTube で公開されている動画から多くのヒントを得ています。英語が読める方であれば、彼の著書『Rebuilding Milo』なども非常に役立つと思います。
彼の科学的な裏付けと体系的なアプローチを参考にすることで、私の客観的な観察とトレーニングの実践が、より効果的なものになりました。
まとめ:左右差を補正することでフォームが安定する
今回の気づきをまとめると、
- 左右差を見つけ出すことが重要
- 弱い部分(私の場合は左側)を補強するアプローチが効果的
- 補助種目を通じて安定性を高めると、スクワットやデッドリフトのフォームが自然に整う
ということです。
👉 次回は、これらの補助種目をさらに具体的にトレーニングメニューのどのタイミングで、どれくらいの頻度で組み込んでいるか、実際のメニュー例をご紹介します。



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